臨床血液
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特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2018 (リンパ系疾患)―
慢性リンパ性白血病
—病態研究と診療の新展開—
鈴宮 淳司
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キーワード: CLL, Ibrutinib, Venetoclax, MRD
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2018 年 59 巻 5 号 p. 511-520

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抄録

慢性リンパ性白血病(CLL)は欧米では最多の造血器腫瘍で,他の腫瘍と同様に,多段階発症モデルが提唱されているが,その詳細は不明な点が多い。また,遺伝子異常を含む予後不良因子の解析,病気の進展に伴うクローンの解析など多くの研究がなされている。FCR(フルダラビン,シクロホスファミド,リツキシマブ)療法は“fit”でTP53異常(17p欠失)異常がない若年者CLL患者に対する初回標準治療である。TP53異常(17p欠失)のあるCLL患者はFCR療法のような免疫化学療法に抵抗性で予後不良である。しかしBruton’s tyrosine kinase(BTK)阻害薬,PI3キナーゼ阻害薬,Bcl-2拮抗薬などの分子標的薬が開発され,TP53異常があるような高リスクCLL患者にも有効である。IGHV体細胞遺伝子変異がある場合はFCR療法により長期の無病生存が得られ,治癒の可能性が指摘されている。治療目標が,病気のコントロールから治癒の可能性へと変化しつつあり,微小残存病変(MRD)の評価が重要になってくると考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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