2018 年 59 巻 8 号 p. 1034-1041
骨髄増殖性腫瘍(MPN)のうち,真性赤血球増加症(PV)および本態性血小板血症(ET)は,血栓止血学的な管理が臨床的に重要である。近年の骨髄増殖性腫瘍関連の話題の一つとして,JAK2遺伝子変異(V617F)が挙げられる。JAK2遺伝子変異は,骨髄増殖性腫瘍の病態や診断の観点からも重要であるが,血栓症との関連でも注目されている。PV,ETでしばしば見られる動脈血栓症の中でも,脳梗塞は未治療のPVにおいて,死亡の主因と考えられている。一方で,静脈血栓塞栓症(VTE)の発症率も高く,特に脳静脈洞や腹腔静脈などの通常は見られにくい部位の血栓症も少なくない。PVやETの予後は比較的良いために,血栓症や出血の対策が治療の中心となる。PVでは瀉血治療が有効であるが,動脈血栓症の発症予防のために低用量アスピリンがしばしば使用される。既にVTEを発症した症例では,再発防止を目的に,抗凝固療法が行われる。