臨床血液
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Symposium 9
環境因子と小児血液腫瘍
古賀 友紀東矢 俊一郎實藤 雅文野田 優子谷村 雅子別所 文雄大賀 正一
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2021 年 62 巻 7 号 p. 801-808

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抄録

小児がん全国登録より,親の年齢または放射線被ばくと小児がん発症の関連を解析した。1985~2007年に発症した小児白血病(n=5,510)とその他のがん(n=8,782)を対象に,出生時の親の年齢を調査した。その他のがんに比べ,母親が40歳以上であった乳児白血病の割合が有意に高かった(OR 2.55,p=0.031)。1969~2006年に発症した小児白血病(n=11,110)とその他のがん(n=16,235)を対象に,妊娠中に放射線照射を受けた母親の割合を調査した。1969~76年(OR 1.25)および1977~84年(OR 1.39)において,白血病は胎児期放射線照射の割合が有意に高かった。自施設にて,cyclophosphamide(CPM)投与を受けた小児がん患者(n=15)の付き添い家族(母)と医療スタッフにおける抗がん剤曝露(尿中CPM濃度)を検討した。乳児7人中5人と学童期以降8人中2人の母よりCPMが検出されたが,医療スタッフは感度未満であった。小児がん発症には遺伝性素因と環境要因のいずれもが関与する。児と母親に遺伝毒性をもたらす環境要因を軽減させることは重要な課題である。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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