臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
JSH-ASH Joint Symposium (Symposium 9)
セレブロンモジュレーターとその標的分子
伊藤 拓水
著者情報
キーワード: Thalidomide cereblon, IMiDs, PROTACs
ジャーナル 認証あり

2022 年 63 巻 6 号 p. 573-579

詳細
抄録

1950年代に開発されたthalidomideはその深刻な催奇形性により市場からの撤退を余儀なくされた有名な睡眠薬であるが,多発性骨髄腫への優れた治療効果を有することから再評価を受け,再び認可をされている。Thalidomideがいかなる作用機構であるかは長年にわたり不明であったが,筆者らによりthalidomide標的因子であるユビキチンリガーゼ・セレブロン(cereblon, CRBN)が発見され,またそれが近年開発されていたthalidomide誘導体であるlenalidomideやpomalidomideといった強力な抗がん剤の治療薬の標的でもあることが判明している。現在では,セレブロンを標的とする薬剤をセレブロンモジュレーターと総称しており,その作用機構についてはかなり明らかになってきている。本稿では,主に筆者らがこれまでに成し遂げたセレブロンの発見やその展開,そして海外研究者らによる成果などについても概説したい。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top