2023 年 64 巻 7 号 p. 614-618
同種造血幹細胞移植後の侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal diseases, IPD)は致命率が高く,移植後晩期の発症が多い。症例は58歳,女性。骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)にて14年前にHLA-DR 1抗原不一致非血縁者間骨髄移植を施行し,以降に肺炎や慢性移植片対宿主病(graft versus host disease, GVHD)を発症,低γグロブリン血症を認めていた。11年前と6年前に23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチンを接種していた。発熱を主訴に受診された。血液培養から肺炎球菌が検出され,IPDの診断となり加療を行うも入院3日目に死亡した。移植後10年以上経過しても肺炎球菌感染症には注意が必要であり,その重篤性から,ワクチン接種などの予防的アプローチと診断時の早期介入が重要であると考えられる。