2023 年 64 巻 9 号 p. 970-980
骨髄増殖性腫瘍において,JAK2を含むドライバー遺伝子変異の発見により,その病態の首座がJAK/STATシグナルの恒常的活性化によることが明らかになり,JAK阻害薬の開発が進んだ。特に,JAK1/2阻害薬であるruxolitinibは真性多血症,骨髄線維症に対して,ヘマトクリット値のコントロール,脾臓の縮小,全身症状の改善に有効性が示されている。一方で,骨髄線維症においては,JAK阻害薬抵抗性の患者に加えて,血球減少などによりJAK阻害薬不耐容の患者も存在し,さらに,急性白血病への進行を抑制することはできないため,新たな治療戦略の開発が待たれている。現在,BCL阻害薬,MDM2阻害薬,LSD1阻害薬,PI3K阻害薬,BET阻害薬,テロメラーゼ阻害薬などの新規治療薬の臨床試験が進行しており,骨髄線維症において,脾腫や全身状態の改善のみならず,全生存率の改善も含めた治療成績の向上が期待される。