2025 年 66 巻 9 号 p. 897-905
RNAプロセシングは転写後調節の中核を成し,スプライシング,ポリアデニル化,cappingなど複数のステップからなる。近年,造血器腫瘍においては,特にスプライシング因子を中心とするRNAプロセシング因子の遺伝子変異が高頻度に報告されており,これらは異常なmRNAスプライシングを引き起こし,発がんや病態進展に関与する。本稿では,SF3B1,SRSF2,U2AF1,ZRSR2といった代表的なスプライシング因子の変異が引き起こす分子異常と,それに基づく病態機構を概説する。また,R-loopや転写伸長との関連,さらには異常スプライシングに起因するネオアンチゲンの提示など,がん免疫との関連にも言及する。さらに,スプライシング調節薬,アンチセンスオリゴなど,新規治療法の開発動向を紹介し,RNAプロセシング異常に基づくがん治療の可能性と展望について論じる。