2026 年 67 巻 2 号 p. 104-108
原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis, PMF)は骨髄増殖性腫瘍の一型であり,JAK2 V617F変異を背景に血栓症を高率に合併することが知られている。一方,Factor V Leiden(FVL)は欧米白人に多く認められる遺伝性血栓性素因の変異のひとつで,本邦で保因者を診療する機会は稀である。今回,門脈圧亢進症をきたし,食道静脈瘤からの出血を契機にPMFと診断され,家族歴からFVL保因の確定診断に至った米国人症例を経験した。Ruxolitinibにより脾腫および門脈圧亢進症状の改善を認めた。さらに骨折に対して血栓症リスクを考慮した周術期管理のもと観血的手術を安全に施行できた。本症例はFVLにPMFを発症した極めて稀な報告である。非典型部位血栓症の外国人症例には,骨髄増殖性腫瘍ドライバー遺伝子変異を含めた複数の血栓性素因を見逃さない姿勢が重要であることが示された。