2022 年 28 巻 p. 109-114
本研究では,植生の侵入・成長・流失を簡易に考慮した平面二次元河床変動モデル(以降,開発モデル)を提案し,計算負荷および植生動態・土砂輸送の再現性の観点から開発モデルの有用性を確認した.開発モデルの計算負荷は植生消長を考慮しない解析モデルの計算負荷から極力増大させないことを目標として,設定する流量ハイドロに時間・日の両情報を共存させるようにモデル実装した.また開発モデルは,侵入・成長・流失を植生高,植生密生度で簡易に考慮し,植生侵入経過日に応じて植生高,植生密生度が変化するように実装した.開発モデルでの計算は,植生消長過程をある程度定性的に再現できた.その結果,植生消長過程を考慮しない場合と比べて,植生抵抗と相互作用がある河床変動の再現性が向上した.開発モデルの計算時間は植生消長なしの計算時間と比べて3.2%程度の増加であった.