河川技術論文集
Online ISSN : 2436-6714
ADCPを用いた回遊性カジカ属稚魚の遡上時利用環境の評価
菅野 一輝篠原 隆佑村岡 敬子溝口 裕太北川 哲郎中村 圭吾
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2022 年 28 巻 p. 175-180

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抄録

河川CIM の推進で整備が進むことが期待される3 次元点群データの活用を想定し,河川下流域を遡上していく回遊性魚類の利用環境を可視化・評価することを目的とした.本研究では,北海道函館湾に流入する大野川の,河口から約1.2km までの感潮区間を対象として,ADCP 計測から 5m メッシュの地形・流速に関する物理環境(河床高,傾斜度,底層流速,表層流速と底層流速の差)を整理した.この物理環境とカジカ属の遡上稚魚の位置情報を合わせて,Maxentによるモデリングで,ハビタットスケールの分布予測モデルを作成した.作成したモデルは,傾斜度と底層流速の寄与度が高く,変数の応答から緩流域と瀬の環境を表現し,カジカ属稚魚の遡上時利用環境をよく示していると考えられた.利用環境を可視化したポテンシャルマップからは,利用環境の連続性が十分保たれていると評価された.従来可視化が困難であった回遊魚の利用環境について,ADCP 計測のみによる水深・流速等のデータと簡易な生物調査を組み合わせることにより,個別箇所の施工時の評価に必要な詳細スケールで面的な連続性を把握することが可能となった.

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© 2022 土木学会
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