2022 年 28 巻 p. 247-252
河川分野において,近年 BIM/CIMデータや ALB測量成果などの 3Dデータが蓄積されている.活用法の検討にあたっては,特に三次元管内図の全河川運用開始(2025 年度目標)に向けて各河川で動いているところである.本研究では,データの更新や河川管理者のニーズに応じたシステムの効果的・長期的な運用を目的に,各河川事務所で個別に開発されている三次元管内図や,その他既存の河川管理システムと連携可能な,オープンソースによる共通基盤の整備を提案した.また,共通基盤開発の端緒として,釜無川をフィールドに,オープンソースの三次元 WebGISによる可視化と河川シミュレーションの省力化により治水安全性や施設安全性の定量的評価が可能なアプリケーションを構築した.将来像として,システムの拡張性を担保しながら, Webブラウザを通してあらゆる関係者が協働して 3次元データをベースに河川の定量的な評価を実施し,合意形成の迅速化を目指す,河川管理の高度化の実現を提案した.