2022 年 28 巻 p. 331-336
濃尾平野では,1994年に経験したような異常渇水時の地下水位低下と地盤沈下再進行に対処しながら地 下水を持続利用するには,気象状況等によって変化する地下水涵養量に応じて地下水利用量を制御する管理が重要である.本論文では,濃尾平野における河川の地下水涵養源としての機能を究明したものであり,揖斐川・粕川扇状地を対象に中小河川としての粕川による地下水涵養量の実態を明らかにするとともに,その実態を再現する3次元浸透流解析と併せて地下水涵養機構の地域特性を分析した.その結果,位況が渇水位から低水位にあるときに地下水涵養量は1~3m3/s程度にある実態が得られ,また扇頂付近や扇端付近の河川区間に比べると扇央付近で地下水涵養量が多くなる特徴が認められた.この特徴は,扇央付近の河川区間において河床で生じる浸透流の動水勾配が非常に大きくなることが原因の一つであると推察された.また,河川からの地下水涵養量を維持するには,河川流量に加えて河床の浸透面積の確保が重要であることが示唆されたことなどを示す.