2023 年 29 巻 p. 151-156
いわゆる粘り強い構造の河川堤防の整備が求められているが,越水対策としては堤防強化の他にも水防活動も考えられる.しかしながら,越水時に効果を発揮する堤防裏法面等をシートで被覆する水防工法(裏シート張り工)については,効率的なシートの敷設方法や越水時の堤防侵食の抑制効果に関する知見が不足しており,工法として未確立と言える.そこで本研究では,裏法面等をシートで被覆した断面二次元の模型堤防を直線水路に設置して越水実験を行った.まず,予備実験を行って裏法尻部平場のシート被覆長を決めた後に,シートの接合方法を変えた本実験を行い,シートの接合方法の違いによる越水時の堤防侵食量の違いを計測した.実験により,裏法尻部平場の被覆すべき範囲を明らかにするとともに,裏シート張り工が越水時に決壊を遅らせる一定の効果を有することを確認した.また,繋ぎ目処理の簡略化によりシート設置時間の短縮を図っても,十分な侵食抑制効果を発揮する可能性を示した.