2023 年 29 巻 p. 157-162
河川管理においては,洪水時の外力に対して堤防や護岸等の安全性を確保することが必要である.本研究は,侵食・洗掘による破堤危険性を事前に定量的予測に基づいて評価する技術を確立することを目的とし,破堤に至る過程を個別の事象に展開したFault Tree図(以下,FT図)と平面流況計算を統合して危険性を評価する手法を提案するものである.まず,複断面河道を対象に,破堤に至る過程を整理してFT図を構築した.次に,流況計算と実績の比較により,堤体侵食・高水敷洗掘の発生を判断する閾値を設定し,FT図で示す破堤につながる重要な事象の生起可能性を評価することで危険性が高いと推定される箇所を抽出した.これにより,河道や河川施設の特性を反映して相対的に破堤危険性が高いと推定される箇所とその原因について抽出することが可能となった.本手法は一般性を持つもので他河川においても容易に活用することが可能であり,河川管理においても有用性が高いと考える.