河川技術論文集
Online ISSN : 2436-6714
漏水流量と地盤損傷の関係性に着目した 河川堤防のパイピング破壊に対する矢板の効果
澤村 直毅前田 健一
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2023 年 29 巻 p. 169-174

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抄録

河川堤防の強化工法の1つに矢板の設置が挙げられるが,現状その効果については不明な点が多い.そこで,本研究では河川堤防のパイピング破壊のメカニズムおよび矢板の効果解明を目指し,実スケールの浸透流解析および簡易模型実験を実施した.その結果,浸透流解析より,矢板は高水位の継続時間が任意の時間内であれば,地盤浸透を抑制する効果を発揮することが分かった.また模型実験より,矢板は噴砂発生を抑制する効果はないが,パイピング破壊に至る時間を遅延する効果があることが分かった.その評価方法としてパイピング破壊曲線(外水位の作用時間に対する堤防強度の疲労曲線)という新たな見方を導入した.これは矢板の効果を地盤損傷に影響を与えない最大の動水勾配の上昇幅と考えることができ,動水勾配とその継続時間によって定量的に判断できるという点において矢板の効果を評価する際に有効である.今後,実河川などにおいて矢板の効果を評価する際には,出水時の水位波形全体を考慮した上で漏水流量と地盤損傷の関係性を把握することが必要である.

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© 2023 土木学会
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