2023 年 29 巻 p. 407-412
本川の超過洪水に伴う背水により支川での水害が多発している.現状では背水区間の支川堤防高を本川のそれと同等にするという規定を満たしていない場合が多く,支川合流部の安全性の全国的調査が必要と思われる.そこで本研究では高梁川右支川の新本川を対象として,氾濫数値計算により事例検討を実施した.超過洪水波形は,合流点での計画高水波形から作成した.その結果,下流側氾濫原の市街は最大4mまで水没し,上流側でも自然堤防上の集落の一部が最大3mまで浸水した.以上の結果をもとに,2022年に創設された流域治水型災害復旧制度の考え方を参考に,事前防災措置の可能性について考察した.