2023 年 29 巻 p. 413-418
2022年8月豪雨では,滋賀県長浜市の高時川沿川の2つの霞堤が機能した.そこで,内外水を同時に考慮した氾濫モデルにより,①古橋霞堤(上流側)を閉じた場合,②馬上霞堤(下流側)を閉じた場合,③両霞堤を閉じた場合の3ケースで解析し,本川の水位変化と霞堤遊水地の冠水面積・時間を比較した.この結果,古橋霞堤は内水・氾濫水排除効果,馬上霞堤は外水の貯留効果を主に発揮したことが分かった.古橋霞堤は内水・氾濫水を早く還元した一方で河川水位を僅かに増加させていた.このことから,霞堤の機能は場所・形状だけではなく,開口部に集まる内水・氾濫流量,それらと外水流下のタイミングで変わることが示唆された.それゆえ,霞堤は下流水位を常に低減するとは限らない(運用上は河川区域への編入が難しい場合がある)ことを理解したうえで,霞堤の機能(特に内水・氾濫水排除の機能)を確保するには,貯留機能保全区域や浸水被害軽減区域への編入なども視野に入れた幅広い検討が必要である.