2023 年 29 巻 p. 437-442
多自然川づくりにおいては,河道の一部区間の川幅を拡大し,ワンド状の空間を整備もしくは保全する場合がある.このような空間には親水,生物の生育•生息空間としての機能を期待することが多いが,治水的な機能を有することも既往研究で示されている.すなわち,河道側方部のワンド状の空間は洪水波形の上昇期には河道内貯留空間として機能し,より下流地点におけるピーク流量の逓減に寄与する可能性が示されている.しかし,河道や洪水の特性,貯留空間量との関係を踏まえて,具体的にどの程度のピーク流量逓減が見込まれるかについての知見は乏しい.本研究では,以上に鑑み,上記関係を球磨川水系上流圏域の支川群をモデルとしてiRIC Nays2DHにより明らかにするとともに,河道側方部の貯留空間によりピーク流量逓減を図る試みを流域治水として実装する際の課題を抽出し,その解決に向けた道筋を示した.