2023 年 29 巻 p. 509-514
我が国では,各地で湖沼の水質・底質等の環境悪化が問題となり,湖沼の底質環境に影響する細粒な土砂(浮遊砂)に関しては,発生や流出メカニズムに関する様々な研究及び対策が行われているが,細粒な土砂が通過し易い河道内に着目されることは少ない状況である.本報告は,北海道東部に位置する藻琴川流域で,関係者が一体となって総合的な環境保全対策及び藻琴湖の環境保全を図るため,河道内で細粒な土砂の捕捉に配慮した沈砂地を設置し,その後も,地域と連携し,モニタリング・沈砂地の改善を実施した.その設計に際しては,これまでの土木技術や多自然川づくりの理念に基づき,自然的な材料を使用した水制工を採用している.その効果は,一般的な沈砂地より,細粒土砂捕捉効果を発揮し,関係機関からも十分な評価を得ている.さらに,この施設への取組が,流域全体への取組を推進すると伴に,土木技術が果たす真の役割を担った.