2023 年 29 巻 p. 515-520
揖斐川水系津屋川に連なる池状水域の堆積物を対象に鉛-210年代測定法を適用し,近過去の堆積環境を分析した.従来,湖沼や内湾などを対象としてきた鉛-210法について,侵食頻度の低い半止水性水域を対象にすることにより,河川水系に対しても適用できることを示した.さらに,同手法により得られた堆積速度の経年変化は,毎年の降水量データ(年総降水量や豪雨日数),水害統計に記された被害履歴(公共土木施設被害や水害区域面積)と概ね良好な対応関係にあり,調査地点と本川流路との位置関係によってさまざまな空間的変異を呈することを示した.氾濫原水域4地点の堆積環境を分析したに過ぎないが,情報が乏しい過去の洪水,氾濫や改修による環境影響履歴を理解するうえで有用な知見が得られた.