2023 年 29 巻 p. 581-586
令和4年台風第15号によって浸水した静岡市清水区の高齢者施設3施設を対象に,被害状況や避難行動等についてインタビュー調査を行った.また,巴川流域で浸水痕跡調査を行い施設周辺の浸水実態を把握した.いずれの施設も上階への避難訓練を実施しており,少ない夜勤者で多数の入居者を避難させることができた.一方,夜間の緊急参集の課題も浮き彫りになった.3施設において「安全が確保できる早い段階」がいつだったのかを検証した結果,気象情報や行政が発令する避難情報に加えて,河川の水位情報を活用した施設独自の基準づくりや,夜勤帯に入り前に日勤職員に宿泊してもらう措置を取ることによって緊急参集を不要とする「施設待機」についても検討しておく必要があることが分かった.