2024 年 30 巻 p. 161-166
令和5年6月台風第2号に伴う豪雨により,静岡県太田川水系敷地川において決壊を伴う洪水氾濫が発生した.当該決壊箇所は,令和4年9月に発生した台風第15号に伴う出水時に破堤した区間と同一であり,令和5年の決壊時においては,前年の破堤に対する応急復旧としての大型土嚢積み状態となっていた.令和5年の大型土嚢積決壊の様子は,前年の破堤対策時に設置した監視用カメラの映像で撮影されており,これと決壊部近傍の降雨及び河川水位の観測データから決壊過程を考察した.河川水位の観測結果から,令和 5年出水では水位ピークが2度発生しており,1度目のピーク時には大型土嚢積区間からの越水は生じていないものの土嚢の一部に沈下が見られ,ピーク後の河川水位の低下に追随するように土嚢の一部において沈下が進行し,その後の2度目のピークにおいて多数の土嚢流失と,その後の後背地盛土の侵食により決壊が生じたものと考えられる.応急復旧の土嚢積み状態で出水に見舞われるケースは今後も出来する可能性が高く,その対策の検討は喫緊の課題であると考えられる.