2024 年 30 巻 p. 399-404
気候変動による超過洪水増加の懸念から,水系の遊水機能を保全・増強する必要性が高まっている.一方,上流域に多くみられる閉鎖性氾濫原は主に水田として利用され,集落は旧河岸段丘や自然堤防上にあることから,そのような土地を超過洪水時の一時的遊水地として使用することが考えられる.本研究ではそのような考えに基づく超過洪水対策を将来の治水計画に取り入れる可能性を現状の治水制度および検討事例との関連において考察した.続いて,秋田県を流れる雄物川上流域の皆瀬川合流点を対象に,2045年を目途に行われる戦後最大洪水対応の堤防整備を前提として,数値シミュレーションによるCase studyを行った.その結果,皆瀬川合流部だけでも超過洪水のピーク流量を3~5%低減できること,および氾濫原内の家屋の多くの安全性は移転や宅盤嵩上をせずとも保たれる可能性のあることが示された.