2024 年 30 巻 p. 41-46
上流からの土砂移動が減少した淀川河口域に好適な干潟を再生するため,シジミの生息場ポテンシャル を高める土砂供給シナリオを検討した.ヤマトシジミの生息が確認されている淀川河口域において,河床粒径,有機物含量,シジミ生息量等の現地調査とシジミ漁師からの聞き取りに基づき,シジミの好適な生息場条件を評価した.複数の土砂供給シナリオに対する淀川大堰下流における地形の応答を評価するため,横断測量データ(河口4-34km)を基にDEMデータを作成し,2次元の流れと河床変動を計算した.好適な 生息場の条件は代表粒径が0.2mm以上,最近の土砂堆積の有無,平均満潮位以下であることが挙げられた.土砂還元の1候補地である天ケ瀬ダム下流からの土砂供給により,河口域の直上である淀川大堰湛水域での土砂の捕捉があるものの,河口域での生息場ポテンシャルの増加(<2%)が期待された.ダムよりも下流の地点から土砂還元すれば河口域への土砂供給量がさらに高まる.また,河口域に土砂の堆積を促す構造物を設置することで,シジミの生息場ポテンシャルが増加する効果も確かめられた.