2024 年 30 巻 p. 471-476
洪水流出予測では時系列予測に利用される再帰型ニューラルネットワーク(RNN)を長い入力データに適用した長短期記憶(LSTM)モデルが利用されている.LSTMユニットを順方向と逆方向に配置して入力時系列データを学習する双方向型のLSTM(Bi-LSTM)が提案されており,音声認識や交通予測などに活用されている.そこで本研究では,Bi-LSTMを用いて東京都の都市中小河川流域を対象とした洪水流出予測モデルを構築し,その性能について評価したものである.対象流域を善福寺川に設定し,1分間隔で観測されている1999年から2016年の雨量および水位データから100洪水イベントを抽出し,平均雨量あるいは多点雨量と上流水位の有無による4つの入力パターンに対し,6つの時間幅(10分,20分,30分,40分,50分,60分)で水位および流量の学習を行った.多点雨量と上流水位を入力データとして用いれば,60分の場合でもNS係数は0.9以上,RMSEは水位0.15m,流量3m3/sの精度での予測が可能であることが示された.