2025 年 31 巻 p. 139-144
我が国には多数の堰が設置されている水系が多く,比較的短い間隔で連続している例も少なくない.近年,これらは必要に応じて統廃合が進められている.堰を撤去する際には撤去後の河床変動について検討する必要があるが,とくに連続した堰の撤去では撤去方法の影響についても留意が必要である.すなわち,一定規模の出水期間内に撤去する同時撤去と一定規模の出水を経験した後に撤去する個別撤去である.堰撤去の影響を検討することで,より合理的な河道管理を行うための情報が期待できる.そこで,本研究では連続する堰の撤去法が河床変動に及ぼす影響について水路実験によって検討し,数値計算によりその再現性を確認した.その結果,堰の撤去方法によってその影響範囲が異なること,とくに堰間の河床変動は堰撤去方法によって影響を受けやすいことが示された.また,数値計算により種々の条件下での堰撤去の 影響を検討できる可能性が示された.