2025 年 31 巻 p. 379-384
河川水位予測の高精度化において,多地点の観測水位情報のデータ同化技術は重要な役割を果たしている.支配方程式の情報を考慮可能な深層学習モデルであるPINNs (Physics-Informed Neural Networks) は,データ同化対象を柔軟かつ簡便に設定可能であり,同化対象地点数による計算量への影響も小さい有望なデータ同化手法であるが,河川の一次元不定流解析への適用に関しては矩形断面を前提とした基礎的な検討に留まっている.本研究では,横流入を含む一般河道断面の一次元不定流解析へPINNsを適用する方法を検討し,実河川を対象とした多地点水位データ同化の性能を検証した.その結果,実河川において有限差分法による数値計算結果と同等の順解析が可能となり,縦断区間別の河道粗度係数を対象とした多地点水位データ同化では,推定真値に対して±2.9~11.4%の妥当な精度で推定可能なことが示された.前述のPINNs手法の特性から,今後予想されるセンサー機器の拡充に対し,本手法の有効活用が期待できる.