2025 年 31 巻 p. 409-414
河川工事における安全管理のための水位予測において,降水予報の誤差は水位予測結果に影響を及ぼす.著者らは長時間予報(MSM)の誤差を加味した予測水位の上限値評価方法を提案し,出水の見逃し低減に対する有効性を確認している.しかし,都市型の中小河川では降雨とともに水位が上昇する場合があり,これを予測するためには降水短時間予報等の短時間予報を用いる必要があるが,上述の手法の適用性について検証できていない.そこで,降水短時間予報を対象に水位予測に降水予報の誤差を加味する方法を検討し,短時間大雨による出水の見逃し低減効果と,リードタイムへの影響を整理した.まず降水短時間予報の誤差について,予報時刻が長いほど誤差が大きくなる傾向があり,MSMと降水短時間予報では異なる誤差傾向を確認した.また,予報誤差を考慮した予測水位の上限値評価では,誤差の信頼区間を大きく設定することで見逃し低減効果が大きくなることを確認した.リードタイムを集計した結果からは,予報誤差を考慮することでリードタイムを最低でも1時間弱延長する効果が期待できることが分かった.