2025 年 31 巻 p. 451-456
本研究は,気候変動による豪雨災害の頻発化に対応するため,内水氾濫の脆弱性が高い岡山県軽部川流域 を対象に,異なる降雨パターン(集中型・分散型)に対する治水対策の効果を定量的に評価することを目的とする.三角形非構造格子を用いた洪水氾濫解析モデルにより,微地形や用水路網を詳細に表現し,田んぼダム、ポンプ排水、事前排水の3つの対策を組み合わせた8通りの治水ケースを設定した。これらを降雨規模4パターンと降雨波形2パターン(計8通りの降雨条件)と組み合わせ、合計64ケースの解析を実施した.解析結果では,集中型降雨は浸水範囲の拡大が顕著であり,田んぼダムの適用により両降雨波形型で浸水抑制効果が確認された.また,分散型降雨ではポンプ排水と田んぼダムの併用により浸水を防止でき,事前排水は集中型降雨に対して特に有効であることが示された.本研究は,異なる降雨波形に応じた複合的治水策の有効性を示し,治水計画の高度化に寄与する実務的知見を提供する.