2025 年 31 巻 p. 79-84
河道内氾濫原は様々な生態的機能や高い魚類多様性を有することが報告されており,河川全体の魚類保全のために,河道内氾濫原の魚類相を広域的に把握し,保全・修復すべき氾濫原の優先順位付けを行う必要がある.本研究では,江の川土師ダム下流の河道内氾濫原を対象とし,環境DNA定量メタバーコーディングを用いて氾濫原プールの魚類群集構造を把握することを目的とした.解析の結果,対象調査地点において氾濫原プールと本流で魚類群集構造が顕著に異なることが明らかとなった.本流地点では,河川内の瀬や淵を生息場として利用する魚類の環境DNA濃度が相対的に高いのに対し,氾濫原地点では,ワンドや氾濫原など止水環境を好む魚類の環境DNA濃度が高いことが明らかとなった.さらに,環境要因と魚類多様性および各魚類の環境DNA濃度との間に顕著な相関がみられ,氾濫原内の環境や本流への連続性が河道内氾濫原の魚類群集構造に影響を与え得ることが示された.これらの結果から,環境DNA分析を用いて河道内氾濫原の魚類群集構造や生態的特性を把握可能になることが示された.