2026 年 32 巻 p. 103-108
プールを有する魚道では,水面が固有振動するセイシュが発生することがある.セイシュ抑制方法として,隔壁中央部での非越流部の設置,あるいはプール底面でのカゴ詰め玉石工の増設が提案されてきた.ただし,これらの施工後で観察された遡上数向上の原因が,セイシュの抑制によるものか,幾何学形状あるいは底面粗度の変更によるものかは識別できない.本研究では直方体プールの半領域の水面変動を蓋で無くした状態で,残りの半領域の水面を0,30,60,90および120 mmの5通りに振幅させ,ニホンウナギ,ドジョウ,カワムツおよびオイカワの遊泳挙動に及ぼす影響を調査した.その結果,水面振幅の増加に伴い供試魚は,セイシュの発生領域を忌避する傾向が顕著となった.これは,セイシュ発生領域では水の水平および鉛直の往復運動によって魚が定位し難くなるため,休息できずに疲労が蓄積したことが原因である.以上のことから,少なくとも本研究で対象とした4魚種については,セイシュを忌避することが解明された.