2026 年 32 巻 p. 109-114
大谷川では,釣り客による乱獲やブラウントラウトなどの外来種の増加等により,在来種のニッコウイワナの個体数が著しく減少している.その一方で,近年では,防災機能を確保しつつ環境にも配慮した対策が可能となってきており,個体数を増やすには千載一遇のチャンスである.本研究では,試行的にバーブ工を設置し,「ニッコウイワナに学ぶ会」と協力し,地域住民とその維持活動を行ったので報告する.
2025年5月に約290mの区間でバーブ工を設置した.先端及び根元には直径1m以上の巨礫を用い,それ以外は,0.5~1m程度の巨礫を配置した.設置後は,魚の生息場所となる淵ができるように,巨礫間の空隙を石礫や草で埋めた.これらの維持活動は,地域住民と行い,河川環境への関心が高まるよう工夫した.
バーブ工の巨石の下部に形成された空隙にニッコウイワナが確認され,空隙がニッコウイワナの生息場所として機能していることが分かった.地域住民との維持活動は,アンケート結果からも,ニッコウイワナの生息環境などの環境問題を知る良いきっかけとなったことが分かった.