2026 年 32 巻 p. 265-270
砂礫河川の維持管理にあたっては,洪水の規模および継続時間に応じて変化する砂州波高を適切に予測することが重要である.本研究では,非線形安定解析に基づく砂州波高の長期予測手法の妥当性と適用限界について詳細に検討した.信濃川中流域に位置する二つの河道区間を対象に解析を行い,定期横断測量で得られた実測値と予測値の時系列を比較した.その結果,Landau 方程式の各係数に補正値を導入することで,砂州波高の長期的な変化の再現性が改善されることが示された.一方,本手法の推定精度は解析に用いる流砂量式に強く依存し,この点が適用上の主要な制約であることを明らかにした.実務への活用にあたっては,各河道の特性に適合した流砂量式を選定もしくは構築することが重要となる.本手法は,気候変動による長期的な影響も考慮した河道計画および管理の検討に資する知見を与えうる.