2026 年 32 巻 p. 91-96
北海道の真駒内川では,河床低下に伴い形成された落差により,サケ科魚類の遡上が阻害されている.本研究は,恒久的な構造物改修までの暫定的対策として,迅速かつ低コストで設置可能な布式簡易魚道を実河川に適用し,その有効性を定量的に評価することを目的とした.令和5年9月から11月にかけて布式簡易魚道を設置し,遡上魚数自動計測装置(サケカウンター)およびタイムラプス撮影により遡上数を明らかにした.その結果,映像により確定できた遡上数はサケ133個体,サクラマス32個体であった.また,落差工上流側において実施された産卵床調査結果においてサケの産卵床が32床確認され,遡上経路の確保が上流域利用に寄与していることが示された.一方で,洪水時の流亡リスクや夜間あるいは濁水時の遡上魚種判別などの課題も明らかとなった.布式簡易魚道は,急流河川における緊急的・暫定的な遡上対策として,社会実装可能性を有する手法である.