防災教育学研究
Online ISSN : 2436-6315
Print ISSN : 2435-9556
“ 360度の学び合い” を重視した持続的防災学習の検討
―和歌山県広川町・こども梧陵ガイドプロジェクト―
近藤 誠司石原 凌河
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2020 年 1 巻 1 号 p. 67-79

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抄録

日本社会では、過去の災害の反省点を生かした多種多様な防災イベントや防災学習が全国 で広くおこなわれている。しかし、その多くは防災の知識を一方的に教えこむ「知識伝達型」 に留まっている。そこで本研究では、これまで知識を一方的に教え込まれる立場にあった 児童たちが、学んだことを外部の他者に発信する体験型の防災学習を実施して、その効果 を検証することにした。2016 年度以降、4 年度にわたって、和歌山県広川町の小学6 年生児童と大学生が、津波防災施設「稲むらの火の館」で来館者に対して防災に関するクイ ズを出題しながらガイドをおこなう取り組みを実施した結果、参加した児童の防災意識が 高まり、将来も防災学習を続けていきたいという意欲が醸成されていることが確かめられ た。また、2016 年度にガイドの取り組みに参加した卒業生(中学3 年生)を対象とした ヒアリング結果から、防災学習を通して多様な主体と交流した記憶が「思い出」となって 長く保持される効果があることもわかった。

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© 2020 防災教育学会
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