抄録
本研究は,日本国内の高等学校,および中高一貫校 271 校を対象に学校の安全管理について
質問紙調査を実施し,その取り組みの現状を明らかにすることを目的として行った。具体的に安
全管理の中でも下記の内容について調査を実施した。
・学校の耐震化や,点検補修,備品の固定状況
・各校の災害時の避難場所と避難経路の確保状況
・各校の備蓄品の準備状況および,保管場所
上記の内容について質問紙調査を行い,各校が想定している災害とのクロス集計を行った。
その結果,
1)調査を行った学校のおよそ半数の学校では書棚やコピー機の固定が十分に実施できていない
ことが明らかとなった。
2)全体のおよそ 95%の学校が 1 箇所以上の避難場所を確保しており,また南海トラフ巨大地 震の際,津波被害を想定している学校の 98.5%が避難経路を確保していることが明らかとなっ たが,そのおよそ半分は避難経路を 1 系統しか用意していないことも明らかとなった。 3)備蓄に関しては,67% の学校が備蓄を行なっているが,想定災害とのクロス集計では,内 陸型地震の発生を想定している学校でも 39.5% の学校で「全く備蓄をしていない」ことが明ら かとなった。また,多くの学校では備蓄品を 1 階に保管しており,浸水した場合,これらの備蓄 品が使用できなくなる可能性も示唆された。