防災教育学研究
Online ISSN : 2436-6315
Print ISSN : 2435-9556
全国規模調査から見えた高等学校における防災管理意識の調査研究
- 想定災害と学校安全管理の視点から -
柴田 真裕田中 綾子諏訪 清二
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2021 年 2 巻 1 号 p. 103-112

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抄録
本研究は,日本国内の高等学校,および中高一貫校 271 校を対象に学校の安全管理について 質問紙調査を実施し,その取り組みの現状を明らかにすることを目的として行った。具体的に安 全管理の中でも下記の内容について調査を実施した。 ・学校の耐震化や,点検補修,備品の固定状況 ・各校の災害時の避難場所と避難経路の確保状況 ・各校の備蓄品の準備状況および,保管場所 上記の内容について質問紙調査を行い,各校が想定している災害とのクロス集計を行った。 その結果, 1)調査を行った学校のおよそ半数の学校では書棚やコピー機の固定が十分に実施できていない ことが明らかとなった。 2)全体のおよそ 95%の学校が 1 箇所以上の避難場所を確保しており,また南海トラフ巨大地 震の際,津波被害を想定している学校の 98.5%が避難経路を確保していることが明らかとなっ たが,そのおよそ半分は避難経路を 1 系統しか用意していないことも明らかとなった。 3)備蓄に関しては,67% の学校が備蓄を行なっているが,想定災害とのクロス集計では,内 陸型地震の発生を想定している学校でも 39.5% の学校で「全く備蓄をしていない」ことが明ら かとなった。また,多くの学校では備蓄品を 1 階に保管しており,浸水した場合,これらの備蓄 品が使用できなくなる可能性も示唆された。
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© 2021 防災教育学会
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