スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
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  • 温水 鴻介, 大槻 茂久, 杉田 正明
    2026 年18 巻 p. 29-39
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,大学女子サッカー選手を対象にスプリントトレーニングを実施し,その有効性を検証するとともに,指導現場における実践的な知見を得ることを目的とした.高い疾走速度の獲得要因および疾走動作の特徴を抽出し,独自に女子サッカー選手のスプリント能力向上を図るトレーニングプログラムを考案し実施した.トレーニングは,スキップ,バウンディング,マーカー走やハードル走,ジャンプ種目を20~30 分/ 回,2 回/ 週,8 週間実施した.フィジカルテストは,30m Sprint, 10m × 5 シャトルラン,アローヘッドアジリティテスト,垂直跳,立幅跳,リバウンドジャンプを介入の前後で実施した.30m Sprint,10m × 5 シャトルラン,垂直跳,リバウンドジャンプは有意な改善が認められたが,アローヘッドアジリティテストと立幅跳では改善が認められなかった.30m Sprint では,ストライドは維持しピッチは有意に増加し,トレーニングプログラムの有効性が示唆された.しかし,サッカーの重要な要素であるアジリティ能力の種目のアローヘッドアジリティテストでは改善は認められず,サッカーのスプリントトレーニングにおいて競技の特異性を考慮したトレーニングを行う必要性が示唆された.
  • 松岡 大介, 松本 孝朗
    2026 年18 巻 p. 1-9
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    ボールパーソン不在かつセルフジャッジ方式のテニスの試合を対象に,地域大学生大会におけるポイント間の時間,エンド交代の時間,セット間の時間を計測し,時間のルールの順守状況を明らかにすることを本研究の目的とした.対象は2023 年度東海学生テニス選手権大会における男女の単複各5 試合,計20 試合であった.試合を録画し,それぞれの時間をストップウォッチを用いて手動で計測した.ポイント間の時間(規定25 秒以内)は平均29.77 ± 8.18 秒で,約70%が時間のルール超過であった.男子は女子より約2 秒,ダブルスはシングルスより約3 秒有意に長かった.エンド交代の時間(規定90 秒以内)は平均144.07 ± 30.32 秒で97%が超過,セット間の時間(規定120 秒以内)は平均183.77± 66.43 秒で90%が超過していた.その超過の程度は,1 試合でポイント間は約400 秒,エンド交代は約320 秒,セット間は約60 秒で,合計約780 秒にとどまった.1 試合の平均時間は102 分であり,3 種類の規定時間の超過は試合時間の約13%に過ぎなかった.
  • 試合出場時間の違いが非レギュラー大学サッカー選手の身体負荷に与える影響
    高柳 昂平, 堀野 博幸
    2026 年18 巻 p. 40-53
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,非レギュラー群の試合出場時間がレギュラー群の約60% 確保された場合における,身体負荷の特徴を縦断的に検討することであった.研究対象者は,大学サッカー部の男子選手18 名で,出場時間に基づきレギュラー群と非レギュラー群に分類した.研究対象者は,以下の測定を行い,結果を分析した:Global Positioning System 測定,身体組成,30m スプリント,プロアジリティテスト,垂直跳び,カウンタームーブメントジャンプ,Yo–Yo Intermittent Recovery Test Level 2(以下,YYIR2),主観的運動強度.その結果,両群ともに30m スプリントとプロアジリティテストは有意に向上し,YYIR2 は有意に低下した.非レギュラー群は主観的運動強度が有意に高かった.結論として,非レギュラー群のトレーニングでの身体負荷をレギュラー群と同程度に確保し,練習試合も含めた試合出場時間がレギュラー群の約62.9%程度であった場合,短時間高強度系のフィジカル指標においては,維持・向上がみられた一方で,間欠的持久力においては低下する可能性がある.さらに負荷調整と合わせて,主観的運動強度について考慮する必要性が示唆された.
  • 松宮 龍太郎, 古川 拓生
    2026 年18 巻 p. 64-76
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,女子7 人制ラグビーにおけるトライ起点プレー割合の変化に着目し,攻撃戦術の変容を明らかにすることを目的とした.ワールドラグビーセブンズシリーズの2020 シーズン115 試合および2024 シーズン128 試合を対象に,トライ起点プレー,プレー再開時間,攻撃精度に関する指標を分析した.タップキックは発生頻度の減少によりトライ起点プレー割合が低下し,スクラムはPK からの選択割合の増加によって割合が上昇していた.プレー再開時間が10 秒未満のタップキックではトライ率が高く,10 秒以上では低下する傾向が見られ,素早い再開がトライ獲得に有効であることが示された.一方で,スクラムはプレー再開に約40 秒を要し,攻撃精度のみならず試合展開のコントロールを目的とした選択である可能性が示唆された.これらの結果は,プレー再開様式とゲーム戦略の関係性を明らかにするものであり,戦術設計において有用な知見を提供する.以上より,女子7 人制における攻撃戦術の多様化が明らかとなった.
  • 折れ線回帰による身長比のステップ長の増加特性に関する先行知見等を手がかりに
    金高 宏文
    2026 年18 巻 p. 10-28
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー
    短距離走の加速局面におけるスティック走練習は,最大走速度の向上を目指して,加速局面にスティックを配置してステップ長を制御する走練習である.しかし,走者の身長を考慮した実施条件について詳細に示されていない.本研究では,金高(2025)が明らかにした短距離走の加速局面における身長比のステップ長(SL 指数)の増加特性や分析データを手がかりに,加速局面のスティック走練習におけるスタートから1 歩毎の目標ステップ長を身長毎に提示することを目的とした.競技者でない児童・生徒等の最大走速度時のSL 指数(SL 指数vmax)が1.10 倍前後であることを考慮し,1.10 倍前後の走者が競技者の1.25 倍へと導かれる目標ステップ長を一覧表として示した.提示した目標ステップ長は実践場面で培われてきた実施条件を補強・補足するようなものであった.さらに,3 人の大学男子陸上競技者を対象にスティック走練習を試行し,スティック走練習前後の50m 走を比較した.その結果,SL 指数vmax を増加させる可能性が示された.さらに,スティック走練習以外での目標ステップ長の活用可能性,目標ステップ長の限界と課題について示した.
  • 年齢差のある対象者間の相打ちによる面打撃を手掛かりに
    大城戸 知, 大澤 啓亮, 竹中 健太郎
    2026 年18 巻 p. 54-63
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究は,剣道熟練者の実践知を明らかにすることを目的とし,年齢差のある対象者間における相打ちによる面打撃を手掛かりに検討を行った.対象は,剣道八段の熟練者(53 歳)および大学トップレベルの選手(四段,21 歳)であった.まず,単独動作による面打撃における打撃に費やす時間と地面反力を計測し,動作特性を定量化した.次に,合図による相打ちの場面において,両者の反応時間と打撃時間を比較し,映像分析により打突の優劣を検討した.さらに,地稽古における熟練者の打突行動について,インタビューを通してその戦術的意図を明らかにした.その結果,熟練者は単独動作および相打ち場面において身体的指標では劣勢であったものの,相手の動作特性を的確に捉え,打突機会を先取する戦術的判断力を発揮していた.これにより,加齢による身体能力の低下を補い,実戦での優位性を維持していることが示された.以上の結果から,剣道熟練者の実践知は,経験に基づく状況判断と戦術的対応力に支えられており,生涯剣道の技能発展における重要な要素であることが示唆された.
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