スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
大学剣道選手における右足踵部の傷害経験の有無による踏み込みの動作と地面反力,音の違い:
右足踵痛未経験者の踏み込み時に発生する音についての検証
竹中 健太郎永原 隆下川 美佳
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 14 巻 p. 97-108

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抄録

右足踵部痛は,剣道における代表的な傷害の一つである.本研究では,ある一人の競技者が右足踵部痛を踏み込み動作の修正により改善させた回顧的アプローチによる事例報告( 下川ほか,2020) を手掛かりに,大学剣道選手について競技活動における右足踵部痛の傷害経験の有無により対象群を設定し,踏み込みの動作と地面反力,踏み込み時の音の違いについて比較,検討した.その結果,これまでに踵を痛めた経験がない大学剣道選手は,その経験を有する選手に比べ,踏み込みの力が強いにも関わらず,踵を痛めない動作を獲得していた.その特徴として,踏み込み直前に右脚の膝関節がより屈曲し,膝よりも踵が後方に位置していることがわかった.さらに,踵痛未経験者の踏み込み音は高く大きな音であり,下川ほか(2020) の報告を支持する傾向が示されたことから,踏み込みの音は,右足踵部痛の改善に向けたフォーム修正へのアプローチに活用し得る可能性が示された.

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© 2022 日本スポーツパフォーマンス学会
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