2022 年 14 巻 p. 82-96
本研究は,ランニング動作の修正が思うように上手く導き出せなかった大学女子中距離選手を対象に,空気圧式体重免荷トレッドミルを用いたトレーニングでランニング動作の修正が可能かを,事例的に検討したものである.本研究の対象者である陸上競技女子中距離選手は,ランニング動作の修正を目的に,空気圧式体重免荷トレッドミルを用いて約5 ヶ月間で25 回のトレーニングを実施した.その結果,空気圧式体重免荷トレッドミルを用いたランニング動作修正のトレーニング実施前後で,jog 時の足関節角度の底屈傾向,および接地時間の短縮と滞空時間の増大の変化,地面反力のヒールストライク傾向からフォアフット傾向への波形の変化, 800 mの自己記録の約4 秒更新といった変化が見られた.それらの変化は,おおよそ対象者自身が空気圧式体重免荷トレッドミルを用いたランニング動作修正のトレーニング実施前に,ランニング動作の修正の狙いとしていた内容であった.以上のことから,空気圧式体重免荷トレッドミルを用いることで,効果的にランニング動作を修正させることができる可能性があると考えられる.