2022 年 14 巻 p. 335-347
本研究では,スポーツ選手における梨状筋拘縮を伴う非特異的腰痛に対する継続的な他動的運動療法(PT)と自動的運動療法(AET)の効果を明らかにすることを目的とした.被験者は非特異的腰痛者の内,梨状筋拘縮を伴っているスポーツ選手とし,PT のみを週1 回行うPT 群8 名と,PT に加えてAET を毎日行うPT+AET 群8 名とした.測定項目は梨状筋の弾性率平均値(Emean),最大値(Emax),SLR,FABER およびNRS の5 つとし,各測定項目で介入前後の数値と各週における数値の差を分析した.結果,それぞれの群で各週において介入前後で有意差が見られた.週ごとの比較ではPT 群では各測定項目で大きな変化は見られなかったが,PT+AET 群では,Emean,Emax,FABER およびNRS について,実験開始3週目以降で実験開始時との有意差が見られた.SLR については,実験開始4 週目以降で実験開始時との有意差が見られた.本研究によりPT のみでは機能・主観的評価ともに介入の1週間後には介入前の数値に戻る事が明らかになった.また,PT に加えAET を3 週間程度毎日実施させることで症状の改善が見込まれる.