スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
バスケットボールにおけるルールの理解の構造と所属,ポジション,性との関連について
大山 泰史 青柳 領八板 昭仁田方 慎哉小牟礼 育夫川面 剛案浦 知仁長嶺 健
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2022 年 14 巻 p. 317-334

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抄録

バスケットボール選手は,その練習環境やポジッション,男女別の試合の経験を通して,必要なルールの理解度に違いが見られるという仮説のもとで,バスケットボールを専門に競技する選手を対象に,そのルールの理解の構造を明らかにし,それらと所属,性,ポジションとの関連を検討する.対象はバスケットボールを競技する全国レベルの3 大学に所属する234 名で,72 問のルールテストの中から類似した内容の問題をまとめた14 項目を対象に,主因子法,バイコーティミン法による斜交解の因子分析を行った.さらに,それらから得られた因子得点と,所属チーム,ポジッション,性との関連をt検定と分散分析によりその差を検定した.さらに,他の諸要因間との関連を一定にした上で,当該要因との関連を検討するために数量化理論Ⅰ類を用いた.そして,次のような結果を得た.1)選手によるルールの理解という観点から因子構造の解釈を行うと「F1:頭上での攻防に関するルールや様々なファウルの理解」「F2:攻撃時間に関するルールやシュート場面でのファウルの理解」「F3:ボールの争奪とゲームクロックが止まった時のプレイに関するルールの理解」「F4:5 秒ルールとボールの所有に関するルールの理解」の4 つの因子が抽出され,一部の項目が2 つの因子に同時に有意な因子パターンを示す複合的な因子構造を示した.2)各因子に最も大きな影響を与えるのは,性で,「F1:頭上での攻防に関するルールや様々なファウルの理解」は,男子の方が女子よりもルールを理解していた.また,「F2:攻撃時間に関するルールやシュート場面でのファウルの理解」と「F3:ボールの争奪とゲームクロックが止まった時のプレイに関するルールの理解」は,女子の方が男子よりもルールを理解していた.3)「F4:5 秒ルールとボールの所有に関するルールの理解」は,どの項目とも関連が見られず,ポジションについては,どの因子とも関連が見られなかった.

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© 2022 日本スポーツパフォーマンス学会
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