スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
相手が一足一刀の間合いに入るために移動動作を起こす機会における「出ばな面」の身体知を探る:
習得前後の運動動作と運動意識の懐古的比較より
阿比 留萌金高 宏文竹中 健太郎下川 美佳
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キーワード: 技の起こり, 意図, 感じ
ジャーナル オープンアクセス
電子付録

2023 年 15 巻 p. 235-245

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抄録

本研究は, 相手が一足一刀の間合いに入るために移動動作を起こす機会における出ばな面を習得した剣道競技者 (A 競技者) の身体知について報告した.具体的には,習得前後の運動動作と運動意識の懐古的比較から習得・指導に向けた身体知の提示を目的とした.その結果,重要な身体知は「左足母指球付近の荷重感」の意識であることが示唆された.打突前に左足の母指球付近に荷重することで,体を前に出す動作を開始する際に生じる右足から左足に体重をかけ直す動作(荷重移行)が省かれ,さらに打突の適切な距離や体勢に関する運動意識を得ることに繋がった.以上のことから,相手が一足一刀の間合いに入る機会における出ばな面を打突する場合は,左足母指球付近の荷重感を意識し打突の準備をすることが重要であると考えられる.

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© 2023 日本スポーツパフォーマンス学会
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