効果的な暑熱対策としてアイススラリー(以下,スラリー)が注目されている.しかしながら,作製や保冷,スポーツ現場への運搬については実用的に検討されていない.我々は専用機器を用いずに作製し,スポーツ現場までの保冷方法と運搬方法を検証した.スラリーを市販のミキサーで作製する際の氷と液体の割合に関しては,氷の割合が多い条件,氷と液体の割合が等しい条件,氷の割合が少ない条件のいずれもスラリー作製が可能であった.ミキサーによりスラリー作製に要する時間は,氷の割合が多い条件では約3 分,氷と液体の割合が等しい条件では約1 分30 秒,氷の割合が少ない条件では約1分であった.保冷方法について,保冷ボトルでは2 時間後までしかスラリー状態を維持しなかったが,真空断熱ボトルに入れた場合,氷の割合が多い条件では3 時間後まで維持した.運搬方法では,真空断熱ボトルに加え,保冷バッグと併用することにより,氷と液体の割合が等しい条件では4 時間後まで,氷の割合が多い条件では5 時間後まで維持が可能であった.