5000 m の自己ベストで平均15 分20 秒の記録を有する大学の陸上中長距離選手6 名を対象に,異なる強度のウォーミングアップ(W-up)が運動継続時間および運動中の自覚的運動強度(RPE)に及ぼす影響を検討した.15 分間のW-up を中強度(55–60 %HRR)で行った条件と高強度(70–75 %HRR)で行った条件の諸測定値を比較した結果,運動継続時間や運動中におけるHR の経時的変化に有意な差を確認することはできなかった.一方で,RPE は両条件間で異なる経時的変化を示すことが認められた.また,6 名中4 名(66.7 %)の対象者では「高強度」条件よりも「中強度」条件のW-up でRPE が高強度の水準である14 に到達するまでの時間が遅くなることも確認できた.しかしながら,「中強度」条件ではW-up 後から運動継続時間測定前にかけて,副交感神経活動(RMSSD)の再活性化が大きくなる程,その後の運動でRPE が14 に到達するまでの時間が逆に速くなることも明らかとなった.