2023 年 15 巻 p. 331-344
監督やコーチは,多くの主観的な情報を総合したイメージを用い,選手起用を行っている.そこで本研究では,選手の主観的特徴からイメージ因子を抽出し,他の因子との組み合わせから選手の類型化を行った.さらに,スタッツなどの客観的なデータによる類型化との比較も行った.評価者は,JBA 公認コーチライセンスを保持する指導者67 名で,認知度が高いB.LEAGUE(B1) でプレイする12 名の選手を対象とした.評価者には,対象選手について35 項目からなる主観的な特徴に関するアンケート調査に5 件方式で回答してもらった.結果,エキスパートのイメージによる類型化によって,4 因子が抽出され,オフェンスを中心とした因子について類型化を行なったところ,5 つの群に分類された.さらに,主観的なイメージによる選手の類型化では「ポジション」「ディフェンシブかオフェンシブか」「身体能力」の3 つの要因が影響していることが示された.最後に,客観的なデータによる分類では,主観的な分類と比較して「ポジション」や「身体能力」などに類似と相違が見られた.つまり,エキスパートは,オフェンスによるイメージをより詳細に持っていると考えられた.