スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
棒高跳におけるポールを切断する長さの決定過程と跳躍試技の変化:
跳躍実験を手がかりにした場合
青柳 唯小森 大輔吉塚 一典金高 宏文
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 15 巻 p. 155-163

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抄録

本研究では,棒高跳競技者が反発力の大きなポールを使う一助として,特例的に行われているポールの下端を切断する際の長さを決める取組について,筆者自身(女子棒高跳競技者)を対象に事例報告するものである.本事例では,男子混成競技者(代行者)による跳躍実験の結果を基にポールを切断していく過程を報告すると同時に,跳躍実験の結果を基に実際に切断したポールを使用した時の筆者の跳躍試技の変化について報告した.跳躍実験の結果,男子混成競技者の主観的なポールの起きにくさの評価を手がかりにすると,ポールを切断する長さは,0.10 m が適切ではないかという見通しが立った.その後,より高い確信度を得るために,映像分析によりポールの挙動(ポール最大湾曲率やポール角速度)の客観的な変化を把握した.その結果,ポール最大湾曲率は変化がなかったが,ポール角速度は0.10m 切断時にはポール角度が約41 度以降に最も高い値に変化したことが確認された.ポールを切断した2 ヶ月後,実際の競技会で筆者自身が使用した跳躍では,最大重心高から有効グリップ高を減じた仮の抜きの高さは,切断前試技の0.30 m から0.50 m へと変化していた.

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© 2023 日本スポーツパフォーマンス学会
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