スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
ボイスレコーダを用いたランニングの支持時間の測定:
足音の周波数解析による接地・離地の検出
田村 孝洋 松田 亮萩尾 耕太郎
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 15 巻 p. 377-387

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抄録

本研究の目的は,ランニングの支持時間(接地・離地)を正確に測定するため,市販のボイスレコーダ(サンプリング周波数44,100Hz)を用いた新たな測定方法を考案し,既存の埋込型フォースプレートの測定値と比較することで,その一致性と妥当性を検討することであった.対象者は大学陸上競技部に所属する男子学生15 名であり,ランニング1歩分の接地と離地を埋込型フォースプレート(基準値)とボイスレコーダ(比較値)を用いて測定した.実験は,ボイスレコーダを用いた2 つの異なる測定方法で行い(実験Ⅰ : ピエゾ素子,実験Ⅱ : マイク),その後,それぞれの結果をBland-Altman 分析,級内相関係数(ICC)を用いて基準値と比較値の一致性と妥当性を検討した.その結果,支持時間は,実験Ⅰでは基準値(Fzpi)147.37 ± 12.28 ms に対して,比較値(Vpi)139.41 ± 18.75 ms を示し,ICCpi(2,1)=0.725(0.583 ~ 0.819)であった.一方,実験Ⅱでは,基準値(Fzmic)161.00 ± 11.36 ms に対して,比較値(Vmic)167.99 ± 12.51 ms を示し,ICCmic(2,1)=0.836(-0.035 ~ 0.964)であった.したがって,実験Ⅱの測定精度は,実験Ⅰより高いと言え,ボイスレコーダ(マイク)を用いた足音の測定は既存のフォースプレートの測定値と一致度が高く,新たな測定方法としての妥当性が認められた.

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© 2023 日本スポーツパフォーマンス学会
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