スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
視覚障がい者ランナーと伴走者のマッチング課題に関する研究
- 伴走者に焦点を当てて -
平井 達雄 前田 博子竹下 俊一
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 16 巻 p. 36-48

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抄録

これまで視覚障がい者ランナー(B ランナー)の伴走者についての研究では,参加動機には他者の勧め(鈴木,2012)や依頼(星野,2008)という外発的なものがあると報告されている.活動実態としては,B ランナーと伴走者が所属するクラブが数多く存在し,定期的な練習会が開催されている.筆者らは,B ランナー側から伴走者とのマッチングにおける課題を検討してきた(平井.2020).そこで,本研究では,伴走者側から同様の課題を明らかにすることを目的とした.研究方法は,A 伴走クラブに所属する伴走者5 名に半構造化インタビューを行い,得られた音声データを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析した.その結果,以下の4 点が明らかとなった.① B ランナーは伴走者への質的な関わりを課題としていたが,伴走者は量的な面をあげ,より積極的にB ランナーにアプローチしていくことが重要と捉えていた.②双方ともに適当な相手を見つける力を養成することが求められ,そのためには人脈を広げることが必要とされた.③自主マッチングでは,走る目的の一致したパートナーを見つけることが課題とされた.しかし,双方とも,多少,目的が異なっていても一緒に走ることは可能としていた.④伴走者は日常の練習におけるマッチングについて,積極的かつ日常的に連絡を取り合うことが重要としており,この点もB ランナーと共通した認識を持っていた

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