2024 年 16 巻 p. 1-9
本研究はテニスの女子ダブルスにおける地方学生選手の課題を探るため,得失点の状況と最終ショットに注目したゲームパフォーマンス分析を行い,ゲームの様相を明らかにすることを目的とした.対象とした試合は世界ツアー大会,全日本学生大会,地方学生大会の3 つのカテゴリーから各10 試合,計30 試合であり,全ての試合は3 セットマッチで,ハードコートで行われたものとした.収集した各映像をSPLYZA Teams((株)SPLYZA)を用いてタグ付けし,得点率,ラリー回数の出現頻度,最終ショットの割合,ネットプレーで終わったポイントでの最終ショット打球者の割合について算出した.分析の結果,1st サーブではサーバーの得点の割合が大きく,中でも世界ツアーではリターンでポイントが終わった割合が他のカテゴリーよりも大きくなっていた.また地方学生においては最終ショットがネットプレーであった割合が他のカテゴリーよりも小さくなっていた.最終ショットがネットプレーであったポイントでは,サーバーとレシーバーそれぞれのパートナーが最終打球者となる割合が大きかった.これらの結果から,地方学生においてはサーブ,リターンならびにパートナーのポジションにおける役割としてのネットプレーに課題があると考えられた.