スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
暑熱環境における冷房機器のない体育館の環境温の変化および女子バスケットボールにおける熱中症の発生状況
芝 純平 山瀬 花
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2024 年 16 巻 p. 160-174

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抄録
本研究は,2023 年7 月下旬~ 9 月下旬までの冷房機器のない体育館での環境温の変化,また2023 年 6 月~ 9 月の冷房機器のない体育館での大学女子バスケットボールの練習による熱中症の発生状況を調査することを目的とした.時期別の気温およびWBGT は7 月下旬から8 月中旬まで高い水準で変化がなく,8 月下旬から低下し始めた.湿度はそれとは反対で,7 月下旬から上昇し9 月中旬にピークに達し9 月下旬に大幅に低下した.加えて,7 月下旬から9 月中旬の最高気温は運動が原則中止のレベルを超えており,冷房機器のない体育館は熱中症の発生リスクが高い環境であることが明らかとなった.ポジション別の熱中症の発生件数はガード17 件,フォワード11 件,センター2 件であり,熱中症の発生にはポジションが関係している可能性が示唆された.また,バスケットボールは熱中症の発症リスクが高い競技であり,ゲーム中に水分摂取が行なえるタイミングが少ない.そのため,冷房機器が使用できない環境においては,練習計画の柔軟な変更および厳格に暑熱対策を行なう必要がある.
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© 2024 日本スポーツパフォーマンス学会
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